2007年06月30日

フランス人による「アニメの感情表現」ガイド(2)

 「アニメの感情表現」ガイド、後半をご紹介します。

 イサミのビビリ顔がかわいい。

 画像が見にくい方は参照先のページをご覧ください。


〜以下、後半の訳。

ジャパニメーションにおける「変な」感情表現(後半)
 作成者:金属殿様(Metallord)

 この記事において引用されるアニメのリストは次のとおりです。

1ゴクドーくん漫遊記
2君が望む永遠
3ごくせん
4Death Note
5アベノ橋 魔法☆商店街
6マジカノ
7行け! 稲中卓球部
8撲殺天使ドクロちゃん
9スクールランブル
10エイケン
11炎のらびりんす
12ヴィーナス ヴァーサス ヴァイアラス
13Darker than black‐黒の契約者
14パトレイバーシリーズ
15ノエイン もう一人の君へ
16ぽぽたん

恋に落ちる(in love)
 恋愛感情は、登場人物の心境によって、違った方法で表現されます。様々なヴァリエーションをご紹介しましょう・・・。

ピュアな恋・メロメロ
 目がキラキラとしており、涙ぐんでいることもあります。目そのものが多少隠れていたり、あるいは逆に過度に大きかったりもします。
 無防備な登場人物が、不意に誰かに魅了された場合にも使用されます。この場合、登場人物はしばしば糸の切れた操り人形のように、フニャフニャになります。

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 少女漫画(Shojo)に典型的な泡や花を使った、多少パステル調の背景がしばしば使用されることにもお気づきでしょう(Shuの書いた記事を参照[*訳注:AnimeKaに掲載された他記事のことです。翻訳してご紹介するかは未定])。

 このようなピュアさを逸脱してしまうこともある、ということは言うまでもありません。

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いかがわしい・悪戯っぽい
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 この画像の登場人物は誰かのことを「考えて」(croquer)[*訳者注:croquerは「かじる」の意]います。一般的に、なにかいかがわしい下心がある場合の表現です。但し、[いかがわしいと言っても]ソフトなことです。
 この感情は、視覚的には猫の鼻の形をした口によって表現されます。口以外の顔の部分も猫のように描かれることもあります。
 スマイリーフェイスの場合、:3のようになります。

 口は、悪賢い狐の口として描かれることもあります。中国や日本のようなアジアの国で、雌狐は民間信仰や民話に登場する生き物の一つです(我々にとってのサイレン、ユニコーン、妖精、そしてゴブリンのようなものです)。昼は雌狐として、夜は男たちを騙し罠にかけて連れ去るために、美女に変身します。

童貞の少年
 恋愛は必ずしも肉体関係を伴うものではありません。この種の感情は、通常スケベだったり童貞だったりする少年のものとして表現されます。
 表情がこっけいなものになったり、不様になったり(目が飛び出たり、真っ赤になったり)、時には動物の特徴を借用してくることもあります。

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 例えば、「雌」の匂いをもっとよく嗅ぐために鼻の穴が大きくなったり、動物界の雄(馬、鹿)の発情期のように唇がめくれあがったりするのです。場合によっては、登場人物が豚などの鳴き声をあげることさえあります。
 引用した画像では、瞳孔が単なる点になってしまっていることにお気づきでしょう。これは、「少女漫画(shojo)」のような大きな目の瞳孔と対比させることで、(欲望がむき出しの、ほとんど非人間的な)どぎつい性格を表現しているのです。



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 涙にはいろいろなヴァージョンがあります。喜び、痛み、笑い、恐怖、それぞれの涙です。
 この涙は時に矛盾する感情がない交ぜになっていることがあります。以下に引用した『行け!稲中卓球部』の画像は、このスケベな少年が少女から性的な攻撃を受けている瞬間です。
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うおおおお興奮してきたぜ!
 登場人物が興奮している表現です。

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 (第一弾でご紹介したように)ホルモンが駆け巡るヴァージョンで、鼻血が出ます。

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 [以上の二枚は、]興奮しているのですが、より性的ではないヴァージョンで、鼻から蒸気が噴出します。
 表情に様々な描き方があることにお気付きでしょう。


パニック
 [ここで言うパニックは]死や幽霊を前にした恐怖から来るようなパニックではなく、コヨーテに絶壁の端に追い詰められるような、極めて「アニメーション的な」パニックのことです。
 アニメにおけるこの種のパニックは、いい加減な言い訳をして恋人に叱られる時の恐さといった、子どもっぽい[理由の]ものです。

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 二つの要素が組み合わさっています。一つは大きく開かれた口(叫んだり、言い訳したり)、もう一つは頭部周辺に現れる汗や涙の粒の類です。三つ目の要素は既にお分かりでしょう。物凄いスピードでメチャクチャな、そして大仰なジェスチャーをとることです。


絶望
 以上のような大げさで滑稽な表情とは違い、最高に笑えるコメディでさえも、時に主人公の孤独な悲しみのシーンを登場させることがあります。頭は前に傾けられ、目の部分は影で覆われ、描かれません。気落ちしている登場人物が、自分を見られまいとしているかのような印象を受けます。

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 画面構成もしばしば狭くなり、顔の下半分しか映さないこともあります。


悪魔のような人
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 絶望を表すために使用される別パターンが、攻撃的な表情や復讐心をたたえた表情であり、この表現に続いて笑えるシーンにシークエンスが移ることもあります。また、悪魔に支配されて理由なく暴力をふるうシーンでも(特に少年向けのアニメや漫画において)使用されます。
 このような(笑えるシーンと単なる暴力的なシーンの)二つの場合において、登場人物の目は不思議で不気味な光り方をします。


酔い
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 酔っ払いは、漫画やアニメの中では滑稽な状況下で登場します。
 多少赤身を帯びた(あるいは暗い赤の)棒状の線が、頬骨や鼻の上に現れます。
 (ちなみに[引用画像の]ニンジンと一緒に写っている女性は、少年が上からの視点のカメラで撮っているものです。)
 より控えめな別ヴァージョンとして、頬骨の上にピンク色や灰色の細い線をいれることがあります。

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 この線は特に酔っ払っていることを表していますが、時に恥じらいの感情を表していることもあります(性的に興奮している少年の場合とは異なることに注意が必要です)。また、恋愛の悩みを表すバラ色の頬と混同してはいけません・・・。いずれにせよ、引用した例は間違いなく酔っ払いのケースです。^^


体調不良
 体調不良は、ドラマ性よりもコミカルな状況を強調するために表現されます。

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 体調が悪くなる原因は、精神的なものから、不味いのに恋人が作ったものであって彼女を喜ばせるためには主人公が完食しなければならない食べ物まで、様々です。

 体調不良は、ある種の恐怖によるものも含んでいます。例えば、引用画像のようにお化けの話を語る際に、悪ふざけで怖がらせる場合にも[顔色が悪くなることが]あります。
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恐怖
 体毛は恐怖のあまり逆立ち(Tシャツの下から逆立つことさえある)、髪の毛は頭の上にまっすぐに立ち、歯がガチガチ鳴ります。日本においても西洋においても共通の表現法です。

 しかしながら、日本のアニメーターは独自のスタイルも持っています。例えば、四角い口や、(画像一枚目の金髪の人物のような)腕の位置、あるいは垂直の線で表される空気の流れによる効果も[引用画像に]見て取ることが出来ます。

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オーラ
 単に変な表現だけではなく、コメディを含めた様々なジャンルのアニメや漫画に共通の表現も見てみましょう。オーラは、力や感情を爆発させる直前の感情を表現するもので、機嫌が良い時には使用されません。

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石化
 石化は、登場人物が石化される状況についての単なる隠喩として、理解することができます。この表現によってあらゆる視覚的なギャグが可能になります。不幸な登場人物は、石像に変身して崩れ落ちたり、打ち壊されたり、あるいは崇め奉られた挙句に笑いものにされたりします・・・。石化は、死体のように、灰色でこわばった「ゾンビ」の形をとることもあります。

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 [石化には]二つの段階があります。この場合、石化する登場人物は、基本的に先ず悲痛に打ちひしがれ(白黒あるいは有色)、そして背景の一部になってしまいます。一般的にはこの順番で続けて表現されます。
話を本筋に戻す前に、背景の一部になることで登場人物の孤独を強調しているわけですが、[本筋に戻っても]石化をもたらしたショックな出来事を解決することは出来ません。

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 (この二つの画像は、同じシーンで続けて登場します。)


朦朧とした状態

 つまらないことで喧嘩をして、見栄を張ってガブガブ飲んだために(あるいは他の似たようなことをして)、朦朧とした状態になるということがよくあります。

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 特に二つの×印、あるいは二つの渦巻き(回転していることもある)で表される目と、間抜けな笑いの組み合わせで表現されることはご存知でしょう。
 スマイリーフェイスでは、x_x とか @_@と表現されますね。


結論
 ご存知のように、コメディアニメ(あるいは漫画)においては表情が極めてデフォルメされ、人間の肉体そのものとはもはや共通するところがありません。「オタク」のファンはこれをSD(Super Déformé or Deformed)と呼んでいます。このように[肉体から]離れることによって、我々が見たような様々な表情の表現がなされているのです。

 『トータリースパイズ!』のような西洋のアニメーションも、次第にこのような表現法を使用してきていることは皆さんもご存知のとおりです。

 議論があればフォーラムで。

2007年6月4日金属殿様(Metallord)


〜以上、訳終わり。

 参照先


 アニメ鑑賞ガイド 第一弾前半後半

 アニメ鑑賞ガイド 第二弾前半後半

 アニメの感情表現ガイド 前半

 なお、既にご紹介したアニメ鑑賞ガイド第一・二弾にも、引用画像を順次加えてまいります。




posted by administrateur at 21:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 「アニメ鑑賞ガイド」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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