この作品の詩情性はフランス人に好かれるはず、と思って読んでみたらやはりそうでした。
10点満点中、平均9.5点の高評価。
〜以下、訳。
名無しの批評
Haibaneは、ジャパニメーションの世界の中でも特別なアニメだ。同じようなタイプの作品が多く(shôjo、shônen・・・)、新しいものは滅多にない。しかし、灰羽連盟は日本のアニメーションにおけるUFO[=今までに見たことのない作品]である。このアニメの世界観は極めてユニークで、脚本は完全にオリジナルであり、すべてが斬新・・・、そしてどのジャンルにも属さない。安倍吉俊の他の作品(Lain、Niea_7)と同様に、極めて個性的な作品を目にすることになる。
すぐに気付くことだが、灰羽連盟では、最後まで大したことは何も起こらない。このアニメの力強さはこの点にこそ宿っている。たとえ何も起こらない印象を受けても、その世界に引き込まれてしまうからである。 このアニメは、憂鬱と幸福が紙一重で交錯する詩情性そのものであり、物語によって穏やかな気持ちにさせられる。暴力のないこの世界について熟考し、そこから引き出される幸福感と静かな感情にとらわれることになる。いくつかのシーンはかなり悲しいものであり、普段気付くことのない社会的排除やシステムによる疎外ということに関して考えさせられ、不安にさせられることもあるが、このアニメに一貫して流れているのは癒しの感情である。
技術的にも申し分なく、背景は色とりどりで素晴らしいが、いくつかのシーンで世界は灰色であり、くすんでおり、夢幻的である。キャラクターデザインは同様に素晴らしいクオリティで、登場人物はとても魅力的であり、すぐに感情移入してしまう。
大谷幸の音楽は、もの悲しく、ノスタルジックで魅惑的な主題によって、このシリーズの極めて特別な雰囲気を増幅させている。
結論として、灰羽連盟は、あらゆる点において革新的であり、既視感のある作品がひしめく日本の芸術世界に、ちょっとした新風をもたらしている。従って、私は自身を持ってこの傑作をお奨めする。このアニメの憂鬱さ、心地よい感覚、精神的な喜び、そして純粋さを楽しみ、魅了されて欲しい。
10点中10点
mr_anzaiの批評
僕はこのシリーズに偶然出会い、13のエピソードに釘付けとなり、ただ感嘆した!
グラフィックに関しても全体の雰囲気に関してもその美しさに唖然とした。
過剰なアクションは無いから期待しないこと。このアニメで紡ぎ出されるのは、何より雰囲気、空気、そして純粋な美しさだ!
何も損ねるところの無い音楽によって、これら全てが支えられている。
確かに話が展開するには時間がかかるが、僕は最初から最後まで興味が途切れることがなかったし、感動してしまった!
もしあらゆる種類の美に敏感な人なら、このアニメを強くお奨めする・・・。
10点中9点
HerrVの批評
安倍さんの傑作であるこの素敵なアニメは、短い(13話)もののとても個性的。「灰羽」の世界の存在に関する説明が意図的にほとんどなされないため、シリーズの中では大事件は起こらないし、縦横無尽に話が飛ぶわけでもないし、話の筋は曖昧なままであることを理解しておこう。スタジオRADIXのグラフィックスタイルは見事に均整が取れていて、色調は昔風(old School)、そして「コンピューター」による処理が鼻につくことは無い。ユーモアも登場するが、このシリーズが放ち、おそらくこのシリーズを魅力的なものにしているのはその詩情性である。素晴らしいUFO。
音楽は成功作ばかりで、オープニングの"Refrain of Memory"は絶妙だし、"Ethereal Remains"は純粋に壮麗だ。四つのOSTがあるが、私は本編と同様全部持っている(輸入万歳!)。
総括:雰囲気や感動をなによりも大切にしたい人のための作品。
安倍さん、ありがとう。
10点中10点
ramzalelfeの批評
私はこの短いシリーズが放つ美しさとオーラにいまも深い感銘を受けている。このアニメは我々を巧みに夢へといざなってくれた。このアニメには超能力も、危機に瀕した世界も、世界を侵略しようとする存在もない。
少女が夢の中にいることに気付く場面から全てが始まり、空中を落下し、カラスが彼女を引きとめようとする。そして彼女は繭の中にいることに気付き、しばらくして外に出る。大きなベッドで目覚め、小さな羽と光輪を持つ少女たちに助けられる。
彼女は、背中に羽が生え、頭の上に光輪を置かれ、灰羽(haïbane)となった。
そして、外界から灰羽を守るものとされる巨大な壁に囲まれた世界で、彼女の探索が続く。 人々が暮らす街は一つしかなく、そこで灰羽は自分にぴったりの場所で仕事をする。
ラッカは、時に重苦しさを感じながらも嫌悪することなく、この新しい世界を見出していく。素晴らしい景色の中で、風車が環境と調和しており、そしてもちろん風習まで極めて細かく描写された街では新年が祝われる。
音楽はこのアニメの中で極めてノスタルジックであり、おそらく、他の灰羽たちと同様に自分がどこから来て、どんな名前を持っていたのかを忘れてしまったラッカの感情を表現している。私は特に、アコーディオンが悩ましげに奏でる「Shadow of sorrow」が気に入っている(そして映画『アメリ・プーラン』のOSTを少し連想してしまった)。
グラフィックは極めて爽やかであり、キャラクターデザインもとても好ましい。登場人物たちはとても多彩で、その描かれ方とそれぞれの性格が上手くマッチしている(例えばちょっとやんちゃな金髪のお転婆娘、クウがそうであり、少し中性的な可愛い顔が本当に似合っている^^)。
脚本の内容をここで明らかにするつもりは無い。私が伝えることができるのは、このアニメの雰囲気だけだ。製作者は、この世界の風習や、極めてオリジナルな「灰羽連盟」の伝統まで創造することに成功した。
これらの点からして、このシリーズには10点満点が相応しい。 この時代に新しいものを作るということは滅多になく、これを温かく見守っていかなければならない。
10点中10点
CrYの批評
安倍氏は、素晴らしいSerial Experience Lain[*訳注:Experimentsの間違い?]に次いで、素晴らしいシリーズを作ってくれた。
先ず映像の美しさだが、シンプルでありながら気取りは無く、可愛い(これが基本)。背景も同様に美しい。
アニメーションは、アクションはそれほど無いが、よどみなく流れる。
これだけ見ることができれば十分だ。
脚本に関しても、私はポジティブな評価をしている。
ヒロインは、見知らぬ世界にたどり着き、この世界を探索していく。
最初は天国(宗教用語としての意味ではない・・・この点は重要である)のようなところかと思われたが、この天国には陰影があり、ところどころ暗く悲しい部分がある。
このシリーズが極めてよくできている点は、主要人物たちが互いに築く関係性である。各人はそれぞれの性格を与えられており、これらの人物が同一の出来事に対して異なった対応を取るということがよく分かり、いつも面白い。
気付かぬうちに我々は既にメタフィジックな世界に足を踏み入れており、先入観を持っていたとしてもこのアニメにおいては問題にならない。
「なぜ私はここに存在するのか?・・・そして・・・なぜ君はここに存在するのか?」といった陳腐な問いかけではなく、もったいぶることのない、より深い内省に導かれる。これは、『エヴァンゲリオン』のシンジと『ナルト』の中間に取られた、絶妙なバランスである。
少し誇張してしまったが、私の解釈は以上のようなものである。
共同体の中での生活に関して、利他主義と利己主義に関して、そして生命それ自体に関しても問題提起がされているが、このテーマはむしろ背景的なものだ。
終盤には少し不満が残る。なぜならこのアニメの中盤ではほとんど宗教は顔を出さなかったし、羽と光輪を与えられた主要人物と共に話が展開していたのに、終盤で暗に宗教的なるものがほのめかされており、このアニメの個性を少々減じ、素晴らしいオリジナリティに小さな黒い染みを作ってしまった。
音楽は本当に気に入ってしまった。素晴らしい。だが、菅野よう子ではない。
結論として、確かにアクションのない極めて良いアニメなのだが、本当にアクションなんて必要なんだろうか?
10点中8点
Starrynightの批評
偶然見始めたこのアニメ、すぐにそのその魅力にはまってしまった。最初の数分とその後の途切れることのない展開に(『天空の城ラピュタ』をすぐに思い浮かべた)、私はこれが特別なアニメであることがわかった。
このアニメの詩的で、夢見がちで、少しノスタルジックかつメランコリックな雰囲気が、パステル調と灰色の色彩や、優しくも陰鬱な音楽と合致している。
ヒロインの世界は、超えることのできない高い壁によって完全に隔絶された小宇宙であり、そこに、「普通の」人間と共存する何人かの「天使」(決してこの言葉は登場しない)が住んでいる。光輪と羽を持つこの灰羽は、我々と同じように服を着て、自転車やスクーターに乗り、煙草も吸う(レキ)。特別な地位を保障されているが、厳しいルールと禁止事項に服している。
ヒロインであるラッカは、他の仲間と同じく、繭の中で目覚める前に持っていた過去の記憶と名前さえも失い、この世界にやってくる。灰羽は記憶が無いまま生まれるため、彼女たちは存在理由を(特にその仕事を通して)捜し求め、彼女たちがなぜ産み出されたのかについての伝説を創作するに至る(私の意見ではこのシリーズで最も重要なシーン)。
さらに、ラッカは鳥との特別な関係を発展させる(鳥は彼女の夢に頻繁に登場する)。鳥は、人間についての失った思い出をもたらすものとされる。
このアニメには、いくつかのテーマが登場する。記憶と忘却、罪と許し。繰り返し登場する効果音と沈黙、そしてこの世界に存在する様々な環境(街そのもの、寺院、オールドホーム、廃工場・・・)によって作り出される象徴性も見て取れる。
とにかく素晴らしいアニメだ。
10点中10点
Bjornの批評
未見のアニメがいくつかある。あなたはぞんざいにある作品を買い、多少の喜びを感じながらそれを読み(lire)始め、そしてページの途中でふと驚嘆してしまう。あぁ、この作品が長くないのは仕方ないが、それでも20〜30ページはある。この作品は息をつかせぬ展開に満ちているわけではないが、感動してしまい、本当の喜びをもたらしてくれる。有名な作家の作品であることを知らない人もいる、このちょっとした傑作は、この作家の代表作の中でも特にあなたにとって大事な作品となる。
灰羽連盟は、言うなれば、このような種類のアニメに属している。このシリーズを巡って「大騒ぎ」があったわけではない。その年を、ここ十年を、あるいは世紀をそれぞれ代表するアニメではないし、この作品がそれを目指したわけでもない。この物語は変わったものだが、物語の真相や、なぜ?どうやって?と疑問に思ってはいけない。時間の無駄だし、この作品の本質を見逃してしまうことになるだろう。なぜなら、この物語には、単なる憂鬱さを越えた力強さがあり、我々がいつか強く感じたことのある深い感情に訴えかけてくるからである。失敗したことやうまく行かなかったことについて少し胸が締め付けられるような思いをしたり、とりとめの無い考えばかりなのに脳裏に去来したことで夜不安にかられたことのない人がいるだろうか?「ああすればよかった」と独り言を言ったことのない人がいるだろうか?幸いなことにすぐに消えてなくなるこのようなちょっとした罪悪感や、何年も前にさかのぼってしまうこともある後悔の念が、このアニメシリーズを力強いものとしている。極めてバランスが取れている優れた脚本に沿ってのみ明らかになり、そしてこのアニメを本当に魅力的なものにしているのは、このような繊細な面である。
矛盾しているようだが、私はあなたを怖がらせたいのではない。灰羽連盟は、すぐに息苦しくなってしまうような、大げさな悲壮感が漂う悲劇のシリーズではない。逆に、繊細かつ軽妙なシリーズであり、13のエピソードをただ見て終わるだけではない。この文体の精妙さによって、純粋に技術的な側面をも乗り越えることができている。グラフィックは、滅多にない出来と言うわけではないが、物語の筋にぴったりと寄り添い、既に私が述べた点にも寄与している。音楽に関しても同様である。しかしながら、私は、たとえこのような要素が平凡な出来だったり、さらに質の悪いものだったとしても、このアニメが呼び起こす喚起力が減じるということは無い、と信じている。この作品に関する私の高評価を支えているのはこのような点である。
単なる暇つぶしのためのアニメを見たのではないという印象をもち、ラストシーンを視聴し終わったときになにか食事をしたわけでもないのに「お腹がたまったものがある」とすれば、評点はこの結果に見合うものとなるしかない。
10点中10点
〜以上、訳終わり。
参照先
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_=_、、
,.へ(( ・.__.・ ))へ、
"^^ ,. ー '.,' ^^"
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「あずまんが大王」の批評として通用しちゃいますね。
灰羽のキャラクターが「ちんすこう!ちんすこう!・・・」と連呼したり、大阪がグリの街をさまよう様子を想像して吹きました。
読んでいて面白い感想文は、いろいろと参考になります。
あずまんがオタってキモ。
緊急事態wwwww
http://w6lnuw9.kxyasx.info/
あらゆる股間で大洪水wwwwwwこれはヤバいwwwwwwwwwwww
ラピュタとの比較があったり、
フランス人はジブリとか、灰羽とか好きそう