2007年09月22日

オタクの報道のされ方

 いつも見て頂いている皆様、本当にありがとうございます。忙しくて更新する余裕が無くなって参りました。せっかく来て頂いているのに申しわけありません。

 2001年の日本テレビ『世界まる見え!テレビ特捜部』にフランス人のオタクが登場した際の映像をYouTubeで見ることができます。それに対する主にフランス人の反応を抜粋してご紹介。

Sebastien Jarry : l'otaku ridiculisé au Japon

 登場するのはセバスチャン・ジャリー氏(詳しくは最後のリンクをご参照あれかし)。ビデオクリップの題名は「日本で笑いものにされているオタク、セバスチャン・ジャリー」というもの。必ずしもジャリー氏を馬鹿にしているわけではないと思うのですが、日本人であれフランス人であれ、一般にオタクに関する報道の仕方がこのようなもの(「オタク=奇異」)になってしまう傾向があることは否めないように思えます。

 そういえば、外国のメディアが日本を報道するときも、「日本=奇異」というステレオタイプを前提とすることが多いと思います。ニューズウィーク日本版今週号(9月19日号)の「東京特派員の告白〜外国の新聞が伝える「世界が見たNIPPON」はなぜデタラメなのか」という記事は、その意味で非常に面白いものでした。興味のある方は是非ご覧ください。


〜以下、訳。
日本で笑いものにされているオタク、セバスチャン・ジャリー

 ・投稿ありがとう!このセバスティアンってなんて変わった奴だ!!でも他人に迷惑をかけているわけではないしね。完全に自分の世界に入っちゃってるね。ワロタ。

 ・どういたしまして。彼に会えるなら俺は腎臓を売ってもいい。

 ・フランスのオタクはちょっと哀れだな。[*伊語?]

 ・彼の日本へのこだわりはあまりに強すぎて、ほとんど人種差別的にまでなってると思う・・・。だって、女の子自身を好きになるんじゃなくて、その女の子が日本人であれば好きになるわけだろ?・・・

 ・けちけちすんなよ。彼に会えるなら俺は腎臓二つとも売ってもいい。俺は人種差別的だから、日本人の女の子と結婚したいwww

 ・うわあああああ、このビデオ面白すぎる!!セバスティアン変すぎ!!でも日本語上手い!!なにあの本の量!!歌えるし!うらやましい!!

 ・可哀そう。リポーターは彼のことを馬鹿にしてるのに、彼は日本への愛情を誇らしげに披露してる。

 ・別に最後の部分以外は馬鹿にしてるわけじゃないだろ。

 ・前世が日本人で、日本人と結婚したくて、アニメ・コンヴェンションでフランス人同士日本語で会話するなんて・・・。

 ・あの店員知ってるけど、この番組はやらせだろ。ジャパン・エキスポでは面白おかしくするために「やらせ」を仕込んでたよ。先月のジャパン・エキスポではテレビ局のスタッフが前もって呼び集めたコスプレイヤーを撮影しながら楽しんでた。

 ・馬鹿にするのは確かに大人気ないね。でも、彼は趣味が変わってるというだけで、馬鹿にされてるわけではないだろ。コメントもネガティブなものではないし。少なくとも、時の流行に押し流されてああなった、という感じではないみたいだけど。

 ・同感。彼は夢中になってて自分の世界に入り込んでる。俺も日本語を勉強するのが好きだ。なかなか時間が無いけど。ヴァカンス中は日本に行ってみたいとも思ってる。でもそういうことを馬鹿馬鹿しいと思う人もいるんだよな。

 ・夢中になるということと、現実世界から逸脱するということは違うだろ・・・。
 俺も日本が好きで、定期的に日本に行ってるし、日本語も喋れる。でもフランス人と会話する時に日本語は使わないし、日本人と結婚することが目標ではないし、前世が日本人だとは思ってはいない。
 夢中になるということに限度は無い。でも彼の場合、一種の狂気さえ感じる・・・。

 ・正にそうなんだよね!夢中になったとしても正気を保つことはできる。俺も日本が大好きで、9月に9回目の日本訪問をする!それでもまだまだ飽き足らない。日本が地上の楽園だとしたら、若者が自殺したり、過労で死んだり、ヤクザや汚職の話が絶えないはずが無いんだけど・・・。それでもやっぱり俺はあの国の「よく分からない」部分が好きでたまらないんだ。

 ・彼はみっともないね。哀れだ!私も日本大好きで日本語を勉強するのも好き・・・。でもこのビデオの場合、彼のことをちょっと馬鹿にしすぎだと思う。

 ・日本人の心の広さはこの程度だよ!
 外国人をこんな風に笑いものにする・・・。
 あんなに日本語と日本の文化に夢中になってるフランス人を見て、日本人は誇りに思うべきだよ。
 フランス語を喋る日本人を見てみろ。酷すぎるぞ。

 ・多分誇張されてるんだと思う。我々日本人はフランス人のことを尊重してるから、このビデオクリップだけで判断しないで。よいヴァカンスを。 [*日本人の方の書き込み]

 ・日本人は彼のことを馬鹿にしてるわけではないよ・・・。フランスに行くことを夢見ていて、ドロテの歌を歌い、ミレイユ・マチュー〔=仏人歌手〕のファンクラブに入ってる日本人の電話交換手を想像してみてよ・・・。変でしょ?日本人はびっくりしただけ。 〔*日本人の方の書き込み〕

 ・セバスチャンはアミアンの国自慢ですよ!! アミアン(Amiens)は、フランスの北部に位置する都市です。
 頑張れ、セバスチャン!!!   [*フランス人の方の日本語による書き込み。ママ転載]

 ・今、彼は日本に住んでて日本人と結婚してるよ・・・。一応彼は夢をかなえたわけだ。

 ・彼は日本でうまくいったわけだ。最初は面白がってたけど、彼をわけもなく馬鹿にすることが嫌になってきた。彼、いい奴っぽいしね・・・。俺も日本が大好きで、日本語を少し習ってるし、漫画を読んだり書いたりしてる。音楽も・・・。好みは人それぞれだけど・・・、Dir en grey、蜉蝣、Moi dix Moisとか・・・。いいんだよなぁ。ハハハ。

 ・彼はカズコって日本人と結婚したよ。

 ・そうなんだ、ブラヴォー・・・。
 
 ・セバスチャンは全然馬鹿にされてないよ。日本人は日本語を喋る外国人を褒めてるだけ。[*日本人の方の書き込み]

 ・俺もアニメオタクで日本が大好きだが、フランス人の店員と日本語で会話しようとは思わない・・・。
 一応尊重はするけど、馬鹿馬鹿しいことだと思う。
 セバスチャン・ジャリーをフランス人オタクの代表者のように扱っているけど、むしろ例外的な奴だし、あんまりいい伝え方じゃない。

 ・日本ではオタクという言葉はとても侮蔑的な意味があって、アニメに限らず何かに極端にのめりこんでいる人のことを指す。だからオタクという言葉をこのセバスチャンに対して使うのは当たり前だけど、それは少し馬鹿にしてる意味合いがあると思う。
 フランスではオタクはジャパニムのファンを指す言葉で、侮蔑的な意味合いは全く無い。

 ・まぁいいじゃん。
 とにかく彼は上手くいったわけだ。
 情熱万歳!!

〜以上、訳終わり。


 ジャリー氏については、以下のサイトに情報が。凄い方です。来日していろいろと苦労されているようです。
ジャリー氏のブログ:「なにか屋‐セバスチャンネル」
同氏のサイトおよび同氏作成の声優についてのサイト

TVブロス様の記事から
『オタクの迷い道』#56 フランスのスゴい奴・セバスチャン

魁!清谷防衛経済研究所様の記事から
フランスのヲタク、セバスチャンについて
【祝!悲願達成?】セバスチャン・ジャリー、結婚披露宴!

 ところで、「フランスではオタクという言葉に侮蔑的な意味はない」という書き込みがありますが(英語圏でもよくこのようなことが言われますが)、これは「フランスではオタクは馬鹿にされていない」ということではないと思います。現に以前ご紹介したアンケート結果によると、「マンガ・アニメ愛好者である、ということは、カミングアウトするかしないかというほどの問題である」ということでした。
 おそらく単に外国では「オタク」という言葉が、マンガ・アニメ愛好者以外の一般人に普及していないだけで、「オタク」を馬鹿にする時に「オタク」という言葉が使われないだけではないかと思われます。
ラベル:フランス オタク
posted by administrateur at 23:43| Comment(1) | TrackBack(0) | Anime en France | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
youtubeはよく見るけど、フランス語のコメントが読めて楽しかったです
ありがとう
Posted by at 2008年10月02日 10:20
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