2007年10月24日

日本に対するフランス人の偏見(2)

 日本に対するフランス人の偏見のリストを送ってくれたMetallord氏とのその後の遣り取りを御紹介。こちらからの返信内容と、Metallord氏からの再返信の内容です。

 本人の希望によれば、アルファベットでMetallordではなく、「金属殿様」と漢字で書いてほしいとのことなのですが(笑)、紛らわしいのでアルファベット表記で書きます。


〜以下、訳。

〜以下、こちらからの返信内容。

 返信ありがとうございます。
 率直に言って、日本人に対する偏見のリストには呆れました。このグローバリゼーションの時代にあっても、日仏の間には直行便で12〜14時間かかる以上の大きな隔たりがあるのでしょう。

 偏見に常に根拠があるわけではないと仰っているので、答えはほとんど出ているように思われます。私の答えはこうです。偏見とは、他人を見る者を映す鏡である、ということです。たとえば、ありがちな「日本=集団主義」という組み合わせは、日本人を個人としてみることができず、集団としてしか認識することのできないその人の見方に起因するものでしょう。そのまなざしそれ自体が既に「集団主義的」なのです。

 従って、どれが正しくて、どれが間違っていると言うことはできません(敢えて言うならば、私を含めて一定数の日本人はカラオケが嫌いです!)。なぜなら、日本社会や日本人は、単一の価値観、風俗、宗教(むしろ混合宗教的です)、政治的傾向を持っているわけではないからです。いずれにせよ、マスメディアの偏見というフィルターを通した、断片的な情報を基に判断しないで欲しいと思います。

 私の言いたいことは伝わっているでしょうか?
 良い夜を。


〜以下、Meallord氏からの返信。

 こんばんは、いやむしろ日本では「おはよう」でしょうか!

 言語の壁が我々の妨げになっているとは言え、読めば分るでしょうし、むしろ我々は何とかこうしてコミュニケーションをとっているように思われます。


 安心してください。フランス人すべてがあのリストの偏見を持っているわけではありません。とは言え、日仏の間にある地理的・文化的な隔たりのせいで、フランス人は往々にしてそれぞれの偏見を持ってしまうものなのです。もちろんそれが正しいわけではないのですが。また、たくさんの日本人が団体でフランスに来ている一方で、日本に行く機会のあるフランス人はきわめて稀です。

 フランス人が日本人はいつも集団で行動すると思っているのは、おそらくこの団体旅行からきているのでしょう。たとえばパリの通りで日本人が一人でいるところを見たことは一度もありません(*訳注)。このことは、より個人主義的なフランス人(全員がそうではありませんが)にとっては一層驚きなのです。とは言え、このことが日本人の民度(civisme)を示すものではありません。

 また、カラオケはフランスでは発達していません。従って我々の目からすると、カラオケが盛んな国の人々は、みんなカラオケばっかりしているように考えてしまうものなのです。とは言っても、日本人全員がカラオケが大好きであると我々が考えているということではありません。日本でカラオケは、映画やレストランで食事をすることと同じくらい、普通の娯楽であるとの印象を持っています。
間違った思い込みを相対化したり、正したりするためにこの記事を書こうとしました。協力ありがとう。他に指摘があったら大歓迎です!

〜以上、訳終わり。


 *訳注:そんなことはない。個人旅行を楽しんでいる日本人をたくさん見ることができる。団体旅行客で多いのはむしろ中国人。


posted by administrateur at 22:10| Comment(13) | TrackBack(0) | 日本に対する偏見 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
へぇ〜、面白いね。
こっちの偏見も送ってあげたいかも。
あと訳注の団体旅行は日本人も結構やってると思うけど、中国人との見分けがついてなければ嫌過ぎる……。
Posted by ブックマークに登録っと at 2007年11月08日 18:50
ブクマありがとうございます。 日仏間で偏見の応酬!日本人のフランスに対する偏見も凄いですよね。 日本人の団体客を日本人が見ればすぐわかるでしょうが、一般のフランス人には区別は難しいかもしれませんね。まぁいいんじゃないでしょうか(笑)。
Posted by administrateur at 2007年11月09日 21:51
こんにちは。いつも楽しく拝見しております。この偏見ですが、日本の報道って逆にフランスの良い面しか伝えませんよね。在日フランス人が「あんな物賛美するなー!」って引く様な報道も有るらしいですし。報道といっても、ごく数人の製作者側の価値観が数十万人の視聴者に影響してしまうんだから恐ろしいです。そういう私もフランス人の男は皆ホモっ気があって、女は目の周りを黒く塗ってると思い込んでいる時期が有りました。何かの記事の影響でしたが。やはり誤解を解くのは相互訪問で直に接するしか無いですよね。ただ、ネガティブキャンペーンがお得意の国(台湾新幹線の時は酷かったらしい)との付き合い方は難しいですね。ではでは、これからも楽しみにしております。敬具。
Posted by azumi at 2007年11月11日 11:47
〉azumiさま
ありがとうございます。
おっしゃるとおりです。無根拠にフランスをユートピア化してしまう報道には、いつも呆れてしまいます。
いろいろな現実に悩み、苦しみ、格闘しているフランスについてももっと報道すればいいのに・・・と思うことしばしば(少しずつ変わってきているとは思いますが)。しかし、フランスを過度に理想化する「フランス特集」をした方が雑誌が売れるという現実・・・。日本もフランスも、良いところもあれば嫌なところもある複雑で多面的な社会のはずなのに・・・。
今後ともよろしくお願いします。
Posted by administrateur at 2007年11月12日 00:04
興味深く読ませていただきました。
私はドイツの友達が沢山いますが、同じような反応です。「興味はあるけど実はまったく知らない」というのが結論なんじゃないでしょうか。

フランスで、私自身あまりいい印象はないのです^^;
旅行にいった友人全員が犯罪に(ひったくり)あってますし、仕事でフランスの方とやりとりをする事があったのですが、ひどくルーズで仕事を切らせていただいたこともあります。
もともと私には縁がないのでしょう。。

そうそう、日本のフランス好きは気持ち悪いものがありますね。
フランスに留学する日本人には「パリ症候群」なるうつ病があるらしいですし。

かといってフランスが「大嫌い」なわけじゃないです。
いい感じで日仏交流していってほしいものです。

また見にきます。^^がんばってください
Posted by はじめまして。 at 2008年01月02日 02:14
 コメントありがとうございます。
 やっぱりまだ「遠い」んですヨーロッパは(笑)。ある種の幻想(あるいはある種の願望)がお互いにあるんだろうと思います。まぁアジアの国同士でさえお互いに物凄い幻想を持ってるんですから、いわんやアジアとヨーロッパをや、という感じでしょうか(笑)。しかし、そういう幻想があるからこそ、興味は尽きないし、実際の姿を知ろうとする楽しさがあるのではないかと思います。まぁ実際の姿を知って幻滅し、「パリ症候群」になるわけですが。そのうち「東京症候群」ってできたりして(笑)。

 フランス社会のTPOが分からない日本人はお洒落過ぎて浮いてしまったり、右も左もわからぬ外国で油断してしまい、犯罪集団の恰好の餌食になってしまうんですよね。フランス人のダラケぶり(エリートは別)、見た目で人を判断しまくる所、偉い人の名前を出すと急に働き出す所、は昔から有名ですが、まぁそういうもんなんです。慣れです(笑)。

 幻想と現実の落差を知って幻滅することなく、両文化の違いや、なによりその国の素敵な面を楽しむことができればいいんだろうと思います。
Posted by administrateur at 2008年01月02日 23:36
大笑いしながら拝見しました。
いや、むしろ、よく当たってるとおもうんだけど。
日本人のセルフイメージというか、日本人が「日本人ってこういうの」と半ば自虐的に思ってるイメージをかなり性格に反映してるとおもう。イタリア人は女好きでマザコン、みたいな程度の。。
国民性よりも個人差のほうが大きいのは当然なのだけど、それでもグループ分けして区別してみたいのが人間の欲求、なのでしょうかね。
Posted by 孤独のグルメ好き at 2008年03月01日 16:28
シャンゼリゼに在仏日本人会館があるから、一人歩きの日本人を見た事が無いっていうのはどうかと思うんだけどなぁ。
でも、当たらずとも遠からずで面白かった。
笑い飛ばすくらいがよろしいかとw
Posted by at 2008年06月06日 15:32
日本は治安がそこそこ良いから一人でも
大丈夫って考える旅行者が多いんじゃないの?
逆に日本人からしたらアメリカは銃社会だし
フランスにしても盗難とかが結構多いわけだし
団体でいけば怖くないっていう心理が働いて
いそうな気がする。
Posted by   at 2008年07月19日 12:42
日本のフランス美化の原因は日仏の観光関係者の宣伝+かっての知識人のフランスコンプレックスがあるんじゃないですかねえ。

今でも現代哲学といえばフランスと言われていますし
Posted by an at 2008年09月09日 03:06
administrateurさんの返信がムキになってて面白かった。
偏見といっても、核心を突いてる部分も多いと自分は思ったけどな、
日本みたいな箱庭的文化では外から見た方がよく分かる部分も多いだろうし、外国から見た偏見は当てにならないなんてことは無いと思います。。
Posted by   at 2008年12月15日 03:14
そういえば日本の集団主義を否定しながら
日本の文化を否定しながらグローバルという集団主義を賛美する人がいるのはなぜなんでしょうかね。
結局は、見る側の価値観の世界の話なんでしょうけど
深刻な実害がでるほどじゃなければ、偏見自体はそこまで悪いことではないと
個人的にはあきらめてますが(お互い様な部分もあるので)、
日本だと同じ偏見にしても、
日本の偏見はだめで、海外(特にヨーロッパ賛美)の偏見はあっちがただしい!みたいになるのは納得いかない部分かな
Posted by U at 2013年03月04日 00:40
個人主義か集団主義かという区別方法がすでに偏見であるといわざるを得ないですね。
常に集団主義的な人間というものは存在しませんし、常に個人主義的な人間というものも存在しません。
つまり、自分が個人主義的に振る舞いたい時に集団主義的に振る舞う人は「集団主義的」に見えるということですね。逆も真なりです。
そもそもこの個人主義か集団主義かという考え方はどこから生まれてきたのか。歴史的経緯を調べる必要があるように思います。
西洋社会でこんなにも広く共有される偏見というのも驚きです。最初から自分たちの文明的優越を描く目的でつくられた概念なのでは?という疑いを抱きます。
Posted by Ugetsu at 2015年04月04日 06:24
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